08.お酒の席は怖い①
今月、大学生アルバイトO君の送別会がある。
それに先立って、夜勤仕事終わりで
数名でプレ送別会をしよう、という話に
なっていた。
メンバーは自分、O君とM君。
3人で朝から酒を飲もうって話だ。
O君は、数年、夜勤アルバイトをやってる
大学生で、M君が入ってくるまでは
自分が1番仲良く話をしていた子だ。
しかしM君が入ってからは、O君がいても
自分とM君が隣同士に席を取るように
なっていた。
O君は典型的なノンケキャラ。
会社に女性が入ると、やりたい、やりたくない、とかすぐ言い出すタイプ。
それで実際に関係を持ったり、風俗だのピンサロだの、ウルサイやつ。
ゲイの自分にとってはなかなか会話に
苦慮する時も多かったけど、
O君は話やすく、なかなか楽しいやつなので
割と仲良く話をしていた。
何故かゲイネタも良く話していたぐらいだ。
O君とM君は基本的に絡みがない。
M君がシフトインしてる時は自分がM君を独り占めしてるし、自分の居ない時にM君はシフトに入らないからO君とM君が仲良くなるきっかけがなかった。
そんなO君と、ごはんや飲みに行くのは初めて。そもそもこんなに長く一緒に働いてるO君より先にM君と蕎麦食いに行ってる時点で、
勘の良い人にはばれそう。
ともかく、朝から3人で飲みに行くことになった。M君はこの飲み会の為にシフト調整までしてくれて、飲む気マンマンだった。
O君も朝から酒を飲むってのでテンションが上がり切っていた。
自分も、もちろんO君とお酒を飲みたかったのもあるし、M君とお酒を飲むなんて最高に幸せなイベントだし、楽しみでしょうがなかった。
朝9時30にお店に入って、店を出たのは
昼の2時ぐらいだった。
10杯くらい飲んだかな、かなり酒は回ったけど、終始冷静だった。
横にM君が座ってて、ずっと萌えてた。
O君に女のネタでいじられまくる
M君が可愛くて可愛くて、ずっとニヤニヤしてたかもしれない。
しかし最後の方でちょっと困った展開が発生。
O君が、飲み終わりでハッテン映画館に3人で行こう、と言い出した。
池袋にハッテン映画館があって、昔ながらのピンク映画が流れてる場所なんだけど、
そこにはゲイが集まってて、入ってきたノンケを襲ったり、金銭交渉の末にヌイたりする場所らしい。
自分がよくO君にそういう場所があるらしい、という話をしていたせいか、彼が酔っぱらってるせいか、突然こんな訳のわからない事を言い出したのだ。
何しに行くんだよ、と突っ込んだら、
「社会見学ですよ!」と言う始末。
そういう場所は社会とは無縁の場所だから
見学で行くような場所ではない。
挙句の果てに
M君を連れて行って、M君が男に襲われるのを
2人で観ましょうよ、と、言い出した。
「お前は俺か!」とツッコミたくなるような
欲求だ。
そんな事を自分が言ったら完全にアウトだけど、O君のキャラなら有り得る雰囲気。
羨ましいキャラだ。
M君は「男はやばいっす!襲われたら抵抗出来ないですから!」と、当然ながら嫌がる。
嫌がるほどにO君のテンションがあがり、
襲われたら助けてやるから、中を覗きに行こうよ!と、諦めないO君。
自分の中の天使と悪魔が戦うって比喩表現があるけど、自分の場合、天使も悪魔もM君のそういう姿は見てみたいので考えても意味がない。
直感的な判断で動くしかない。
立場上この話に乗っかる訳にはいかないので、
「そんな気持ち悪いところ行きたくねーわ!」
と、M君側についた。
そもそもM君が他の男にやられるの何て
嫌だし。
見たいけど、嫌だ。
O君、今までの飲みエピソードを聞く限り、
毎回飲む度に、何かをやらかしてる奴なので、
今回も何かひとつネタが欲しかったみたい。
なかなか折れないO君。
M君がネットで映画館を調べて
「こんなので入るだけでも1800円もかかるみたいですよ!絶対嫌ですよ!」と言う。
するとO君もネットで調べて反論する。
「今日映画の日だから1000円だよ!」
あんな場所にまで適用されるんか。
毎月1日は映画1000円の日。